ICソケットは、回路設計を行う上で非常に効果的に利用できるものです。簡単に集積回路を取り外すことができるため交換が容易で、しかも検査を行う際にはこの部分に検査治具を接続することで効率的に行うことができます。そのため設計段階や試験段階だけではなく、製品化する場合にも取り付けておきたいと考える設計者は多いものですが、実際には様々な問題があるため製品にはあまり使用されていないのが実態です。ICソケットは本来の集積回路の端子に対してさらに導線部分を延長する結果となるため、この部分で電気的に問題を生じ誤操作を招く危険性があります。

具体的には導線部分が延長されることによるインピーダンスの変化により、その信号に悪影響を与えてしまう恐れがあるためです。このため動作遅延が生じたり、また信号波形が変形してしまうといった問題を生じるため、場合によっては動作不良となる危険性もあります。さらにICソケットは基板上の部品点数が増える結果になり、その分部品コストが増大すると言う問題を生じるため、注意が必要です。近年では特に電子機器の価格競争が激しくなっており、そのためにコストを圧迫する部品を極力削減しようとする動きがある中で、ICソケットを搭載する事はコストアップの要因となるため大きな問題となることが少なくありません。

ICソケットは設計者や動作確認を行う側にとっては非常に便利なものですが、製品を製造する側にとっては様々な問題を引き起こす原因となる可能性が高いものと考えられている傾向があります。また実際にトラブルを発生させるリスクも高いため、様々な状況を鑑みた上で利用することが重要です。

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