半導体分野にはカスタムソケットという言葉がありますが、これは文字通りカスタムされた差し込む器具のことで、具体的にはICを差し込んで試作品の開発やテストを行う為のものです。パソコンの自作に精通している人であれば、CPUを差し込む器具がソケットといえば分かるはずです。イメージ的には、足が沢山生えているICを受け止め固定する感じで、差し込むだけで固定されるタイプと、上からカバーなどで押さえて固定するタイプに分けられます。カスタムソケットは、市販されている汎用品にないソケットを必要とする場合に、オーダーメイドで作成されるものを指すので、同じものが2つと存在しないことも珍しくないです。
カスタムソケットの需要があるのは、ICを開発したりICを使う製品を開発する企業で、試作段階から製品化までのテストと、製品の故障を診断する目的にも用いられます。開発は試行錯誤の連続で、改善を加えながら何度もテストしますから、繰り返し着脱に耐えられることがカスタムソケットに求められます。また固定はしっかり行われる一方で着脱は容易、誰でも間違えずに装着できて簡単に壊れてしまわないことも重要です。シビアな要件で使用する製品を開発する現場では、熱やノイズといった要素の影響を受けにくい、高い測定精度が保証されるカスタムソケットが必要とされます。
つまり、オーダーを受けて作成する企業は、シビアな要件に理解があったり、ニーズに応えられるだけの技術力が不可欠というわけです。